あるいは選択肢という名の可能性

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  郷田の『愛の説教部屋』から出ると昼飯の時間になっていた。  うちの高校は夏休み前になると授業が午前中の間しかない。  そんな貴重な時間を郷田と共に過ごしている俺はいったい、なにをしに学校に通ってるんだろう?  …まぁいいか。深く考えるまい。  さてと、腹も減ったし、食堂にでも行きますかね~。  食堂到着♪ 「お姉さん~!いつもの!!」 「あいよ!定食Gセットお待ちぃ!海老天一本サービスしといたよ~」  俺は食堂のオバちゃんに礼を言い、定食Gセットを受け取った。  お世話は使いようである。  ここの学食は値段も安く味が良いことから人気がある。だからいつも昼飯時は込み合うのだ。 「空いてる席は、…おっ?あのちっこいのは…」  食堂の奥のテーブルには演劇部の部長、新山理沙(にいやまりさ)が座っていた。  どこか一点を見つめボーっとしている。 「隣、空いてます?」  俺は定食Gセットを持ったまま、新山部長に話しかけた。 「…あっ、どうぞ。空いてますですよ」  新山先輩は一点を見つめたまま返事をしてきた。  こちらに気がついていないのか? 「もしもし~」  隣の空いた席に座り呼びかけた。 「…オ役は、う~ん…。でも、三枝さんも…、う~ん」  部活のことでも考えているのだろうか、箸が唐揚げを持ち上げたまま口まで行かずに止まっている。  聞いてないみたいだな。  パクリ。  俺は空中に浮かんでいる唐揚げを食べてみる。  うむ、美味い♪
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