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郷田の『愛の説教部屋』から出ると昼飯の時間になっていた。
うちの高校は夏休み前になると授業が午前中の間しかない。
そんな貴重な時間を郷田と共に過ごしている俺はいったい、なにをしに学校に通ってるんだろう?
…まぁいいか。深く考えるまい。
さてと、腹も減ったし、食堂にでも行きますかね~。
食堂到着♪
「お姉さん~!いつもの!!」
「あいよ!定食Gセットお待ちぃ!海老天一本サービスしといたよ~」
俺は食堂のオバちゃんに礼を言い、定食Gセットを受け取った。
お世話は使いようである。
ここの学食は値段も安く味が良いことから人気がある。だからいつも昼飯時は込み合うのだ。
「空いてる席は、…おっ?あのちっこいのは…」
食堂の奥のテーブルには演劇部の部長、新山理沙(にいやまりさ)が座っていた。
どこか一点を見つめボーっとしている。
「隣、空いてます?」
俺は定食Gセットを持ったまま、新山部長に話しかけた。
「…あっ、どうぞ。空いてますですよ」
新山先輩は一点を見つめたまま返事をしてきた。
こちらに気がついていないのか?
「もしもし~」
隣の空いた席に座り呼びかけた。
「…オ役は、う~ん…。でも、三枝さんも…、う~ん」
部活のことでも考えているのだろうか、箸が唐揚げを持ち上げたまま口まで行かずに止まっている。
聞いてないみたいだな。
パクリ。
俺は空中に浮かんでいる唐揚げを食べてみる。
うむ、美味い♪
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