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顔が熱い。
先程の柔らかい感触がまだ唇に残っている。
…ちょっと冷ましていくかな。
流石にこんな真っ赤な顔で部室に入ったらなにか聞かれかねないし。
俺は、演劇部の部室に寄る前に、クーラーの効いた場所に行くことにした。
パソコン室は確か…、鍵かかってたような気がする。
図書室は今頃、マン研の連中が『マンガ甲子園』なるものに精力を注いでいて、迂闊に邪魔すればなにを言われるか分からない。
…残るは保健室くらいか。
静先生がいるのがちょっと気になるが、部室ですぐに部長と顔を会わせるのよりはましだろう。
保健室のドアを開けると、人工的に冷やされた空気が迎えてくれた。
奥には静先生が、机に突っ伏して寝息をたてている。
俺は先生を起こさないように、こっそり忍び込み、ベッドに向かった。
この時間帯は部活をやってる奴以外は下校を始めるので、ベッドで寝てる奴はまずいない。
俺は一番奥のベッドに向かうと、音をたてないようにカーテンを開けた。
「…先客いんのかよ」
誰もいないはずだったそこには、一人の学生が寝ていた。
「くそ、保健室は失敗だったな…」
俺が引き返そうとすると「あぁん、待ってぇ~」そいつは言いながら起き上がってきた。
「五月蝿い黙って寝てろ」
ちっ、起きてたのかよ!
「そんなつれないこと言わないでよん♪」
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