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先程一万円も使ってしまったので、財布の中身は帰りの電車代しか残っていない。
俺は、泣く泣く2枚目のおみくじを諦めた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
夏休みが始まる一週間前。
俺は7月のうだるような暑い朝、通い慣れた学校向かって走っていた。
「眠いぃ~、あちぃ~、遅刻するぅ~」
「も~、優君がちゃんと起きないからだよ!」
隣を走る幼なじみの櫻木真由美(さくらぎまゆみ)が応える。
真由美が言うには、何度も俺のことを起こしたそうなのだが、起こすたびに俺が「お願い。あと5分~…」とか言って時間を稼いでいたそうだ。
恥ずかしながら、全くそんなことを言った記憶がない。
「でも、そのたびに律儀に5分待ってから起こしてた真由美にも原因があるんじゃないか?」
「起きない優君が悪い!」
「それなら俺なんかおいて、家に寄らずに先に学校行けば走らなくてすむんじゃないの?」って続けたら、「そのまま俺が学校終わるまでベットで寝てて学校休むからダメ」だとさ。
まあ当たってるな…。
「それにオジさんから頼まれたんだもん」
おい、何でそこで顔が赤くなるんだ?
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