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オヤジめ、また真由美になにか妙なことを吹き込んだな。
残念なことにオヤジは現在、東京の方へ出張中である。帰ってきたら覚えてろ。しかし真由美よ、だからと言ってお前まで遅刻しそうになってたら世話ないぞ?
そうこうしているうちに学校まであと300mである。
「真由美!とばすぞ!」
俺は更に速度をあげた。
遅刻を回避するには、あと1分ちょっとしか残っていない。
うーん、ギリギリだな。
「えっ!?えっ、ちょっと、待っ………きゃっ!!」
後方で真由美の短い悲鳴が聞こえる。
振り返ると真由美が、見事に足をもつれさせて転んでいた。
「私は気にしないで!優君は先に行って!」
「…はぁ、まったく」
俺は走るのをやめて、真由美の方に向かった。
「…でも、行かなきゃ優君が遅刻しちゃう」
「ばぁーか。こんな所に置いていけるかよ」
「でもでも…」
「『でも』じゃない!こんなとこに置いていったらそいつは男じゃないぞ?」
元々の原因、俺だしな…。
「…優君」
そんな顔するなよ。恥ずかしいじゃないか。
「…それに、パンツ丸だしの女子高生なんてめったに拝めるものでもないし」
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