61人が本棚に入れています
本棚に追加
ピィィーッ
キックオフの笛の音とともにサッカーが開始する。しかも席はかなり見やすい席だった。私はこのチケットをどうしたのか気になってしまう。私の顔をみて察知したのか珞葉さんはいった。
「この前うちに風更ちゃんがきたとき俺と風更ちゃんがサッカーいくの聞いてたみたいでね…。で、秋葉が次の日どこでてにいれたのかサッカーのチケット見せてきて、「俺もいくから」っていわれてね…。それでその日に指定席のチケット買ったんだよ。指定席はけっこう席とか余ってたりするからね。」
「なんでそんな…高いのに…」
「なんで?だって俺は最初から風更ちゃんと2人で見に行くはずだったんだから。」
珞葉さんも秋葉なみのつじつまのあわない答えをいってくる。でも私にとってはうれしかったんだ。
「あっ私、1枚分払います!」
「いいって。俺が2人で一緒に見たかったんだから。」
「……はい…。ありがとうございます。」
私はうれしくなってしまう。
「あっそれと、はい。どうぞ。」
と、珞葉さんが出したのは、なんと私がさっきほしかった7番のユニホームだった。
「え?」
「さっき秋葉と口論になって意地はっちゃって、ユニホーム買えなかったでしょ?だから、買っといた。」
「え…でもチケットにユニホームまで。」
「いいって。俺働いてんだし。ねっ?」
「はい…」
「……あと、俺はどんな理由だろうとファンにはかわりないと思うよ?それに試合までみたいって思うんだから、やっぱ生でその人の勇姿をみたいわけで……ちゃんとサッカー好きなんだよ。風更ちゃんはさ。」
「珞葉さん……」
珞葉さんの優しい言葉に心が震える。涙がでそう。やっぱり珞葉さんが好きだ。
試合は結局珞葉さんといれるだけでうれしくてあんまり内容を覚えてなかった。でも思い出になったからいいと思った。
最初のコメントを投稿しよう!