61人が本棚に入れています
本棚に追加
信じたくなかった。珞葉さんに彼女がいるなんて。あんなに私に優しくしてくれて。サッカーだっていってくれた。ピアスだって私に似合うからって………。
なんで?ただからかってただけ?
そんな興味ない人とサッカーいってくれる?
私は近くの公園のベンチに座った。
「おいっ」
「秋葉……。」
秋葉が息を切らせてやってくる。
「おまっ……はぁっはぁ……急にいなくなんなよっ」
「ねぇ秋葉………珞葉さんにとってはさぁ…私ってどういう存在だったんだろうね……。あんなにかわいい彼女がいてさ……すごく守りたくなっちゃうような子だったじゃない。私なんて全然およばないじゃない…。たんなるキープだったとか?あはは………笑っちゃうよ……」
涙がでてきた。本当は秋葉の前なんかで泣きたくない。バカにされるだけだ。私は秋葉に背を向けた。
バサッ
そのとき頭に何か布が落ちてきた。
「何……??」
見てみるとそれは青いTシャツ……ユニホームだった。そして秋葉は言った。
「泣くなよ!それあげっから!」
何で涙をふくのにユニホームなのかと思った。ユニホームの裏を見てみるとその意味はわかった。
「7番………。」
私が秋葉と言い争って買わなかった大好きな7番のユニホームだった。
「なんで……。」
「俺はやっぱり7番は好きじゃないし?サッカーは10番が命だと思ってるよ!でも、風更は7番が好きなんだろ!?何回もドームで日本代表が来てくれるわけじゃないし!?……っその……後悔されたくないだろ……」
秋葉が照れていった。
「もぅ……意味わかんないよ……」
私は泣き笑いになっていった。私は珞葉さんがユニホームをくれたことはいわなかった。
「なぁ……風更……。俺さ…本気でおまえのこと好きなんだけど……」
「………」
秋葉は、強引で気まぐれだけど、本当は優しい。いざってとき、どうにかしようって思ってくれてる。いつも珞葉さん珞葉さんっていってる私でもあきらめずに私の元にやってくる。そして珞葉さんには彼女がいた……。今日は本気で心が揺れた……。
最初のコメントを投稿しよう!