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私はいろいろと思い返した。
考えたら私は今日秋葉と同じ部屋で寝るんだ。寝る………私は本当に秋葉と一緒に寝れるの?でも私はいいともダメだとも思えなかった。あんなに私を好きだっていってくれてるのに。私が泣いているときに秋葉なりになぐさめようとしてくれた。秋葉はとっても優しいし。秋葉のおかげでいっぱい楽しいこと見つけたよ。そんな秋葉を私は拒むことができるのだろうか。結局何も決められぬまま私は旅館の廊下をぼぉっと歩いていた。そのとき遠くから声が聞こえた。
「パパ~お誕生日おめでとう!」
「お~ありがとう。」
たぶんこの旅館の支配人だと思うのだけれど、パパと呼ばれた人が子供たちの頭をなでていた。そのときその場にいた奥さんが私に気付いた。
「すみません~うるさくしちゃって。」
「あっいえ。楽しそうですね。」
「今日夫の誕生日でしてね……。子供たちもパパのお仕事終わるまで寝ないってきかなくて。」
奥さんは笑っていった。
「なんかいいですね……」
私はしみじみと言った。そのあと奥さんはいった。
「私ね…最近思うの。愛する夫と子供と…一緒にいられてとっても幸せなんだなって。かけがえのない人にありがとうとかおめでとうとか。いつも使う言葉でもいいの。おはようとかいってきますとか。そういう言葉を毎日いえることとっても感謝してる。毎日みんなにありがとうっていっちゃいたいくらい。」
奥さんは笑って言った。
「なんか…いいですね。」
私は笑っていった。
「あなたには…ありがとうとかおめでとうとか。そういう言葉言ってあげたい人っている?」
「え…………?えっあ……」
私は口ごもってしまった。誰にいってあげたいのかわからなかったんだ。
そんな私をみて奥さんは笑って、
「なんか悩んでるのね。みんな若いうちはそうだわ。大丈夫よ。すぐにわかる。あなたが今何かいいたいって思ったとき誰が頭に浮かんだの?」
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