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私はしゃべっていた。
「だめ…………」
「え?」
秋葉がとまる。
「だめ……!!」
私は起き上がって秋葉と離れる。
「風更………?」
私は涙が溢れていた。
「秋葉……ごめんね?……本当にごめんね……私には好きな人がいる……相手に好きな人がいても、彼女がいても……私の頭の中から離れない人がいる!……だから秋葉とはつきあえない……」
本当にここまで私を思ってくれる人なんてこの先現れないかもしれない。私の本心を気兼ねなく話せる人なんて存在しないかもしれない。だけど……私の頭の中には珞葉さんの笑顔が浮かぶ。私はやっぱり珞葉さんが好きなんだ。
その時だった。秋葉が急に立ち上がって着替え始めた。
「秋葉……?」
「何ぼ~っとしてんだよ!いくぞ!?」
「え?」
「帰るぞ!今から帰れば12時前には家に帰れる。急いで帰るぞ」
「へっ?」
「明日は珞葉の誕生日だろ!それに今おまえが思ったこと俺じゃなくてあいつに伝えたなきゃダメんなんじゃないの!?」
秋葉の言葉にまたさらに涙が溢れた。そして私は立ち上がって急いで帰り支度を始めた。
「車とってくる!」
秋葉が旅館をでていく。私は急いでさっきの奥さんにいう。
「すみません!」
「あらあらどうしたの?」
「あのっ帰ります!いくらですか!?」
「………」
奥さんは私の様子を見て笑って、
「何か思うことみつかったのね。」
といった。
「へ………?」
「お金はいいわよ。それより早くいきなさい。」
「え…でも…」
「いいから。少しでもお役に立ててよかったわ。」
と、すべてを見透かすように言った。
「じゃあ……失礼しますっ」
私は車まで走った。
「いくぞ!」
秋葉が車をとばし始めた。
「うん!」
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