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「高杉、労咳なんだって」
「は?」
吉田が言った言葉が全く理解できなかった。反応すらできなかった秋徒よりも宮部が反応した。
「そ、それは本当か!?」
「うん、まだ初期段階らしいけ
ど」
「秋徒知っていたのか!?」
「知らん」
「え………」
吉田を驚いた瞳のような睨む様なそんな感じで見る秋徒。どうやら本当に知らなかったのだろう。
「高杉は今、京にいるんだろう
?」
「あぁ」
「療養して…ないのか?」
「しないってさ」
「何故だ!?ただ死ぬのを待つ
つもりなのか!?」
「床ではなく、戦場で死にたい
って言ってた」
秋徒は何も言わずに部屋を出ようとしたが、宮部に止められる。
「秋徒!どこへ行く!」
「………集合…かけんだろ…」
それだけ言うと屋根へと急いだ。黙って空を見上げる。暑いはずなのに、寒気がした。
「………」
晋作が死ぬ…?
あの晋作が……?
また新手の冗談かとも一瞬思ったが、それは自分が冗談だと思いたかっただけで、吉田の瞳が真実だと語っていた。
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