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晋作はずっと側にいた。何度突き放しても離してはくれなかった。それが晋作の優しさなんだと、最近になってわかり始めていた。
「労咳……」
労咳は不治の病だ。晋作が死ぬのか?あんな病に等かからなさそうなやつが…。
私より先に死ぬのか?
秋徒はとりあえず吉田の事を伝えに高杉の元へ足を向けた。
何事もなかったかの様に高杉がいるであろう宿へと辿り着いた秋徒は屋根裏から静かに中の様子を窺った。
「…………」
晋作に桂さんに……あいつは…
坂本龍馬だ………
何故坂本がいるのかなんてどうでもよかったが、坂本の前に姿を表すわけにもいかなかった。
暫く身を潜めていたら坂本が帰り、秋徒が姿を表すよりも早く高杉が声をかけた。
「降りてこいよ、秋徒」
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