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「はっーー…」
気づけば汗だくになりうたた寝していた。さっきのが現実なのか夢なのか、自分でもわからないほど鮮明だった。
何故あんな夢をみたのか、あの時桂の言葉を聞かずに池田屋に行けばよかったのか。だが、今はまだ好機ではない。いや……
吉田達が死んだ事でより好機が遠くなった。桜井数馬に復讐する好機が。
吉田は無念に師である吉田松陰の仇を果たす事ができなかった。計画は無謀であったが、心意気は嫌いではなかった。
だが、私はそうなりたくはない。桜井数馬を許すわけにはいかない。沖田総司がその仲間ならば、同じく復讐を果たすまでーー…
まだ明け切らぬ夜に秋徒は知らず知らずの内に胸が締め付けられる思いをしていた。
無念に散っていった望月や吉田を思うと今まで秋徒の中に芽生えていなかった感情が溢れ出して一筋の光が頬を伝った。
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