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…!「えぇっ!?」夕菜は目の前の画面のありえない状況に、つい携帯を落としてしまった。
足がガタガタと震える。
それもそのはずだ。夕菜の携帯ディスプレイには、知らない男性がいたのだ。
携帯の中の男はわずかながら髭がある、20代後半の少し外人っ気のある真面目そうなダンディーな紳士…といった印象だ。
男は怯える夕菜を画面ごしにじっと見つめる。
やがて静かに口を開いた。「落ち着いて下さい。私の話を聞いて。」
…夕菜はわけのわからぬまま、学校に欠席の連絡をすると、近くの公園のベンチに腰かけた。
周りに誰もいないことを確認すると、携帯をもう一度開いてみた。
男は少し夕菜に微笑んだ。
「怖がらないで下さい。私の名前はポール。あなたは村雨夕菜様ですね?」
「…うん。」
夕菜は不安そうに返事をした。
(一体なんなの、こいつは!?)そう思いながらも何故か冷静に対応している自分がいた。
ポールは続けて言った。
「あなたは昨日、清田正樹にメールを送りましたね?」
「…それが何?」
夕菜は嫌な予感で胸がいっぱいになりつつも、強い調子で聞き返した。
ポールは夕菜に事務的な調子で告げる。
「契約は果たされました。欲絆の鎖が発動しました。よってこれより1年間は、鎖の有効期間とし、村雨様と清田様には戦っていただきます。」
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