魔神の宣告

6/10
前へ
/237ページ
次へ
…!「えぇっ!?」夕菜は目の前の画面のありえない状況に、つい携帯を落としてしまった。 足がガタガタと震える。 それもそのはずだ。夕菜の携帯ディスプレイには、知らない男性がいたのだ。 携帯の中の男はわずかながら髭がある、20代後半の少し外人っ気のある真面目そうなダンディーな紳士…といった印象だ。 男は怯える夕菜を画面ごしにじっと見つめる。 やがて静かに口を開いた。「落ち着いて下さい。私の話を聞いて。」 …夕菜はわけのわからぬまま、学校に欠席の連絡をすると、近くの公園のベンチに腰かけた。 周りに誰もいないことを確認すると、携帯をもう一度開いてみた。 男は少し夕菜に微笑んだ。 「怖がらないで下さい。私の名前はポール。あなたは村雨夕菜様ですね?」 「…うん。」 夕菜は不安そうに返事をした。 (一体なんなの、こいつは!?)そう思いながらも何故か冷静に対応している自分がいた。 ポールは続けて言った。 「あなたは昨日、清田正樹にメールを送りましたね?」 「…それが何?」 夕菜は嫌な予感で胸がいっぱいになりつつも、強い調子で聞き返した。 ポールは夕菜に事務的な調子で告げる。 「契約は果たされました。欲絆の鎖が発動しました。よってこれより1年間は、鎖の有効期間とし、村雨様と清田様には戦っていただきます。」
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加