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あまりにもたくさんの受け入れがたい情報に、夕菜は頭がおかしくなりそうだった。
そんな夕菜にポールは冷たく言い放つ。
「今回の双方の願いは、村雨様はありのままの自分で生きること、清田様は村雨様との結婚。…自業自得ですよ。もとはといえば、気のない男に、自分が自由に生きたいからという理由だけでその気にさせるようなことをして…他人を利用しようとしたあなたが悪いんです。」
「…だったら、どうしたらよかったのよ…。」
夕菜はポールをキッと睨んで怒鳴った。
「ああしなきゃ、私は…!それ以外に何もなくて…!仕方なくてこっちは…!」
夕菜は目に涙を浮かべていた。
(悔しい…私はそんな外川のような、人を利用する奴なんかじゃないのに…!こんな風に人に思われないように生きて来た私は…!)
ポールはそんな夕菜を少し驚いたような顔で見ていた。
しばらくは困ったようにおろおろしていたが、不意に夕菜の肩に手を置いて優しく言った。
「すいませんでした。あなたにはあなたなりの悩みがあったんですよね?」
夕菜はポールと目を合わせると、何年ぶりかのありのままの夕菜の気持ちを告げた。
「うん…信じて。わたしはそんな酷いことをするつもりじゃなかった。」
堪えきれなくなって頬をつたう涙を指でそっと拭う。
夕菜は泣いて少し冷静になれたようだ。
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