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長年自分を偽って来た夕菜にとって、咄嗟の出来ごとに順応するのは容易いこと。
あらためて考える。
どうもわからないことばかりだが、現に目の前にポールという携帯から突然出てくるような不思議な者がいる以上、信じて従うしかなさそうだという結論に達した。
「清田に負ければ、わたしはアイツと結婚しなきゃいけないんだよね?」
「そうなります。」
夕菜は清田を利用しようとなどしていないということを証明するため…捨てがたい、ありのままの自分でいる夢のため… 危ない賭けに身を投じる。
(どっちにしろ、断っわったら清田と結婚させられるんだ。だったらやってやろうじゃない。)
ポールは、何かを決意したような夕菜の表情の変化に気付き、最後の質問を投げかける。
「戦いますか?私とともに夢を掴むために…。」
夕菜は覚悟をきめた。
「うん!よろしく」
ポールは夕菜に右手を差し出し、夕菜はそれを力強く握った。
ポールは微笑む。
「絶対に…絶対に勝ちましょう!」
ポールには絶対に勝たねばならない理由があった。
(絶対に…勝たなければ…)
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