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次の日から夕菜の力の特訓が始まった。
ポールは
「大切なのはイメージですよ!」
という指導しかしないが、夕菜は真剣にポールの言うままにイメージに集中する。
「オレンジジュース…オレンジジュース…」
ポール曰く、OJフォースは、オレンジジュースを自在に操る能力であると同時に、イメージ次第ではどんな形態にも変えることができるのだとか。
夕菜はそこで一つ閃いたものがあったので、実際に試してみようとやってみる。
「でい!」
夕菜は思いっきり人差し指を地面に向けた。
人差し指からは勢いよくオレンジジュースが噴出す。
やがてオレンジジュースはひとつの形を成した。
それは…
大きな猫!
「やった!できた!」
夕菜は思わず叫んだ。
ポールは開いて置かれている携帯のディスプレイの中で驚いている。
「すごい…こんな簡単に!?」
夕菜は興奮した様子でポールに向かって聞く。
「えっと、どうしたらいい!?」
その声でポールは我にかえって答えた。
「あっ、えっ、命令をしてみてはどうですか?もちろんイメージしながら。」
「わかった…やってみる。」
夕菜は側にあった鉄パイプの椅子を目の前に置くと、目を閉じ、イメージに集中しながら猫に命令する。
「ポン!その椅子を噛み砕いて!」
オレンジジュースの猫は、一瞬で、その鋭い牙で椅子を噛み砕いてしまった。
「すごい…」
夕菜はペタンとその場に座り込む。
猫は満足そうに唸ると、液体に戻ってゆっくりと夕菜の人差し指に消えていった。
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