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ちょうどチャイムが鳴りだした。
そう、今は早朝で、夕菜は学校の体育館にいたのだ。
「やっばい、行かなきゃ!」
夕菜は立ち上がり、携帯をとる。
「学校が終わったら、電源入れるからさ。」
夕菜は電源を切ってポケットにしまい、校舎へと走った。
…夕菜はギリギリ朝のSHRに間に合った。
担任の山下先生に軽く会釈して席に着く。
隣りの席の本田さんが「夕菜ちゃんがギリギリってめずらしいね。」と言ってきた。
「うん、ちょっと用事でね。」
夕菜は煩わしく思いながらも笑顔で答える。
(めんどくさい…朝から話しかけないでよ。私だって遅刻もするでしょうよ。)
あくまで心の中で愚痴をこぼす。
これが夕菜のここでの生き方なのだ。
SHRが終わって休憩時間に入ると、夕菜は教室にいる女子生徒の話に適当に付き合ってから、トイレに向かった。
「こんなに…息苦しかったっかな…。」
個室に入ると、ぽつりとそう呟いた。
トイレから出ると、そこには清田がいた。
夕菜は思わずビクッとする。
(魔法使いで…私の敵!)
清田は夕菜を見てニコリてして言った。
「メールありがとう。まさかホンマに送ってくれるって思わんかった。」
夕菜はひきつった笑顔で答える。
「うん、私も清田君と仲良くなりたいし。」
これは…嘘だ。
夕菜は自分を責めた。
(なんで…別にもう仲良くするフリなんてしなくてもいいのに…)
清田はそれを聞いて、心の底から嬉しそうな様子で言った。
「メール、するから!」
走り去る清田…
その背中を夕菜はいつまでも見つめていた…。
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