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…ー放課後
夕菜は重い足取りで帰り道を歩いていた。
下校メンバーらが心配そうに夕菜に話しかける。
「夕菜ちゃん、大丈夫?元気ないけど。」
夕菜は、この友人らに呼ばれる“夕菜ちゃん”は嫌いじゃない。
学校で唯一、自分を理解してくれている3人友達だと思っている。
「大丈夫。今日返された昨日の早朝テストのこと、ひきずっててさ。」
「あ~…、ニシモっちの採点厳しいからね。私も駄目だったよ。」
「やっぱ厳しい!あの先生は!」
「Sが抜けてたっていうけど、△ぐらいにしろって感じ!」
4人で顔を見合わせて楽しく笑いあう。
こんな他愛もない瞬間が、夕菜はたまらなく好きだった。
自分を理解してくれる友達は、なによりも今の夕菜にとっては、心の助けにもなった。
「ありがと、みんな…。」
「?」
みんなは不思議そうに夕菜を見ていたが、やがて笑顔で言ってくれた。
どういたしまして。困ったことがあったら、いつでも相談にのるから、と。
そして、私達は友達だからね、と。
駅に着くと、夕菜は友人らと別れ、自分の家の方面に向かう電車のホームへ行く。
今日は少し空いているようだ。
夕菜は、誰もいない待合室へ入った。
椅子に深々と腰掛けて、携帯の電源を入れる。
ポールは画面の中にちゃんといた。
夕菜は少しホッとした。
ポールは、元気のない夕菜を見て言った。
「…どうかしましたか?」
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