力の理由

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「…私、最低よ。」 夕菜は携帯を右手でギュッと握る。 「清田は、何も悪くなかった!純粋に私に好意を抱いてくれてただけ! 私が、私がその好意を利用して、自分勝手なこと考えなかったら、こんな大きなことにはなんなかったんだ…!」 夕菜は涙声になりながら、話し続ける。 「…清田が悪いって、ずっと思ってた。 事の元凶は私なのに! 私がずっと目指してた人間は、外山と大して変わらんなかった… 私は清田を利用しようとした… 人を利用して願い叶えようなんて…」 夕菜は堪えきれずに涙を流す。 「それだけじゃない… 今度はポールまでも利用して、勝負に勝とうとしてる自分がいる! ごめんね、ほんとにごめん…!」 いつの間にか夕菜の手から落ちた携帯から、ポールが出て来た。 ポールは夕菜の横の席に腰をおろすと、どこか遠いところを見ながら口を開いた。 「…人を利用したことを謝るべきなのは、他にいます。」 「えっ?」 あまりにも予想外のポールの言葉に、夕菜は困惑した。 ポールは続ける。 「私も、あなたを利用したことになりますね… 謝らなければ。」
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