僕ときりぎりす

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きりぎりすの父親は、彼が幼い時に 女をつくって逃げたらしい。 相当な悪人だったと、20分ほど話を聞く 最後に笑いながら 左手の長袖をめくりはじめると 肘のすこし上に古い刺し傷が覗く。 彼の人生がどのようなものであったかを …ただただ無言で語る。 かわいそうなきりぎりす 悪夢ばかり見ていたのだね 彼が冬を乗り切れず 死んでゆく? 僕は無力か? 僕に何か出来ることはないのだろうか。 このまま助けずにはいられない。
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