僕ときりぎりす

6/6
前へ
/189ページ
次へ
無人の家から この蟻の形をした貯金箱を持ち去る 無言でそれを壊し金を握る …それが普通ではないか。 彼はそれをしなかった お金は一人分しかないのは知っている 二人とも飢えて死ぬか 生きて春を迎えることができるか 凍える程寒い朝 髭を剃りながら 鏡を覗く いつもそこにはきりぎりすがいる 大丈夫、 まだ僕たちは生きている
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加