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八月の初め
焼き付くような暑さの中俺は孤児院【last heaven】の大きな楠の下に出来た陰の中に座っていた。
「暑ぃ~~~」
俺は四肢をだらしなく伸ばしながら言った。
俺の名前は神無月 悠。どこにでもいそうなフツーの16歳、ここでは最年長の部類に入る。
当然親はいない。
だが、寂しさを感じたことは無い。
ここには手の掛かる弟や妹達が沢山いる。
今日もみんなで何をするか、考え中だ。
「何すっかな~~。
鬼ごっこは暑ぃし、蝉とりは昨日やったし、何か無いかな~ってあれ?」
悠が視線を門に向けると一人の男が立っていた。
(誰だ?アイツ)
悠がそう思っていると、そいつはこちらに向かって歩いてきた。
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