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次に悠が目を開けたとき最初に感じたことは
むせかえるような血の匂い。
何があったか思い出し、顔を上げる。
眼前には孤児院のみんなの力無く横たわった姿があった。
「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
悠は絶叫し、皆に駆け寄る。
「おい!しっかりしろ!おい!おい!・・・頼むから起きてくれ・・・・・」
しかし、その呼びかけに答えるものはいなかった。
ふと右に顔を向けると、さっきの男が立っていた。
「お前が・・・お前がぁぁぁ!」
悠は激昂し男に殴りかかった。
だが、横合いから突進して来たコガネムシに阻まれ、無様に床に転がされた。
呻き、男の方を見ると、コガネムシがこちらに向かって進んでくる。
(何でだよ・・・!みんなを傷つけた奴に一矢報いることもできず、みんなを助けることもできなかった!)
そう思っている間も異形のコガネムシは不気味なうなり声をあげ近づいて来る。
(殺される。)
そう思い絶望し目を閉じようとした。
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