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鐘の音が鳴った。
酷く歪んでいて、耳障りだったが
それは鐘の音だった。
そして
周りの景色が突然変わった。
「・・・?」
それは樹と大きな教会以外は何もない、そんな所だった。
よく見ると教会の屋根にあるべき十字架は上半分が折れ、ただの棒のようになっていた。
ここは何処だと思いつつ教会の扉を開けた。
また鐘の音が鳴った。
中を見渡すと、整然と並ぶ長椅子の奥、教主がいるべき祭壇があり、その奥の本来神像を置く場所は闇色の空洞だった。
「だれもいない・・・のか?」
悠が引き返そうとすると
「迷える者よ、我が下へ・・・」
「!!!」
しわがれた声が響き、悠が驚き振り返ると
さっきまで誰もいなかった祭壇に黒い擦り切れた法衣を纏った老人と思われる男がいた。
「お前は夢を抱いた、お前もまた王の資格を得た。」
意味が分からない。
「さぁ、求めるが良い、力を」
悠はそう告げられ思い出したように口を動かした。
「なら、俺にみんなを傷つけたアイツを倒す力をくれ!」
悠は力の限りそう叫んだ。
しかし
「それはお前の真実の夢ではない、さぁ、真実の夢を我に示せ」
「真実の・・・・・夢?」
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