社会の厳しさ

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他の看護士のヒソヒソ話が聞こえてくる。門脇りえと中西徹の噂である。噂は1人歩きをして、尾ひれがつき、真実が歪んで行くものである。 僕も噂は聞いていたが、あまり気にせず関わっていた。そんな折りに、看護学生がバイトに来たのである。看護学生といっても准看護士の資格を持っており、正看護士の学校に通っているようである。 「すみませ~ん。入浴介助人が足りないので学生さんを借りていいですか?」 部屋持ちの看護士に尋ねた。「いいよ~そうしたら学生さんに、入浴し終わった方の処置を頼んでおくわ。」僕は、入浴介助をし始める。「外さん、頭痒いとこないですかぁ」 「ちょっとてっぺんが痒いです」 頭の頭頂部を軽く爪をたてないようにかいてあげる。 「ありがとう」と言われたので軽く頭をシャワーで流し入浴してもらう。 脱衣室では、学生が慌てている。他の看護士が指示をだし丁寧に指導をしているようである。 入浴介助が終わり。 「はぁ~~」一息をつく。「智也く~ん」いきなり抱きつかれる。 周りの看護士がびっくりしている。 「土居さん離れて~暑苦しい」引き剥がそうとするが腰を振ってくる。 「こいつら~~ホモやぁ!」 「誰がホモですか!」息を荒らげながら引き剥す。 学生も顔真っ赤にして初めてホモを見た。という顔でいる。伊達智也、ホモのレッテルを貼られてしまった。
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