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もう13歳になった榊原優（さかきばらゆう）は、両親の複雑な事情が理解できていた。
最近二人の会話が少ない事や、たまに話すと思えば言い争いになる事は、優にとって気持ちのいいものではない。
かといって、優はそれを止めようとはしなかった。
もはや時間の問題だとさえ思っていた。
しばらくの期間を経て、両親は優に告げた。
「母さんと父さんはね、離婚するの。優は母さんの方へ来なさい。いいわね？」
予想通りと言えばそうなのだが、あまりにあっけなく離婚した両親は、優に選択肢を与えるまでもなく、すでに母親の方へとついていくように話しを進めていた。
母親の方へついていく事も予測できていた優は、黙って事の成り行きに身を任せていた。
両親の離婚は自分には止める事のできない流れだったが、優も文句は言わなかった。
父親の所有するマンションは財産として分与されるはずだったのだが、母親はそれを断り、自分がマンションを出ていくと言った。
その代わりに、優が20歳になるまでの養育費の費用を上げさせたのだった。
浮気症の夫に嫌気はさしていたが、ある事件がきっかけで妻は離婚に踏み切った。
母親は父親を強く憎んでいた。
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