プロローグ

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ここはアメリカ南部にある国際科学研究所。 日・米・露が秘密裏に開発、研究を進めたノアプロジェクト(時空転移計画)が幾度と繰り返された実験段階を経て遂に実行に移されようとしていた。 まず実行第一段階は先遣隊400人を中生代に転送し、そこで4つのコロニーを形成し生活するというものだ。 厳選された何らかのエキスパート達がノアの前で転移の時を待ちわびている。 大型の機械装置のスクリーンに様々な専門的用語や心電図のような波状の線が映しだされている。 機械の前には様々な人種の研究員が不安そうな顔をしてスクリーンを見ていた。 「ノア<時空転移装置>出力安定…タイムゲート開きます!」 ノアと呼ばれた巨大な機械装置の扉が左右に開き始める。 ガシャン 扉が開ききり中に見えるのは… 青く光輝く世界だ… 「ぉお!!!!」 その様子を傍らで見ていた各国官僚達が声を漏らした。 「成功だ。エネルギー出力を固定しろ。」 白い顎髭の老人が機械の前にいる研究員達に命令を始める。 「素晴らしい!」 「流石はホーエン博士ですな!」 各国官僚達は互いに讃美し合い、白い顎髭のホーエン博士を褒め讃える。 「これで貴方の名前が偉大な研究家として歴史に刻まれますな。」 「いえ、それはまだです。先遣隊を送ってからの経過を見なくてはならないですから。」 その様子からは自身の実験に絶対的な自信がある様子が見受けられたが慢心するといった事がない厳格な性格も表れていた。 「そうですな。貴方には期待していますよ。」 笑みを浮かべ各国官僚は口々にそう述べる。 「ホーエン博士!転送準備完了しました!」 400人の先遣隊がタイムゲートの前に集まり整列している。 「よし。それでは始めるとするか。」 ホーエン博士は大型の機械装置の前に立ち、一際目立つレバーに手をかけた。 「ノアプロジェクト開始!!」 レバーを一気に下まで引く。すると凄まじい閃光と風が研究室内を取り巻く。 ゴォォオォォオ…… ピタッ… そして一瞬にして400人もの人達と沢山の機材などは姿を消した。 ワァー!!!!!!! 研究員達は一斉に歓声を上げる。研究の集大成を見事各国官僚達の前で見せる事ができたのだから喜びを見せるのも当然だ。 ホーエン博士もフゥ-と一息ついた。 研究室は計画の第一段階成功に喜びと未来への光に満ちていた… そう『この時』までは……
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