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品の悪いあの新聞の話は、校内でも噂になっていた。自分たちと同じ学校の制服の生徒で金髪なのは佐伯祐司だけ。ならば、一緒に写るもうひとりの男は誰だ。という盛り上がり方だった。ヘリからの上空写真の解像度は悪く、男で髪は明るくない程度の情報しかわからない。
生徒たちの妄想は膨らむばかりだった。
しかし、そこに達也の名前は上がらなかった。
品行方正な達也が年中発情期の祐司と一緒に行動することを知っている生徒はあまりいない。むしろ、祐司が連む友達は多く、「その1人が達也である、めずらしい」という認識しか生徒たちは持っていなかった。
イメージのそぐわない二人が一緒にいるのをみる度に「めずらしい、変なの」という感想を持つ生徒が圧倒的多数だった。
だから学校に着いてからも達也には、いつも通り話しかけてくる人が多かった。深刻な励ましや、お悔やみはあまりない。しかし達也には、友達からの『おはよう』の挨拶も、先生からの社交辞令すらも耳に入らなかった。
誰に声をかけられても頭にあるのは、ひとつだけ。
どうして自分にあんな幻が見えたのか、幻聴が聞こえたのか。
その現象が起きた原因についてを科学的に考察することだけだった。
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