花瓶

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友香は嫌な予感にかられ、誰よりも早く窓に駆け寄った。急いで窓を開け、下を見下ろす。 ざわめきの声と耳をつんざく悲鳴が聞こえた。 窓辺から身を乗り出した友香が見たものは………人形だった。 その人形は顔を横にし、地面にうつ伏せていた。 なんだ、人間じゃない。 だって人間なら血が出るじゃない。いっきに現実に戻った気がして、友香は教室の中へひょっこりと体を戻した。 『なんだー、よく出来た人形。びっくりしちゃうね!…………だってそっくりなんだよ?……………え?』 まさか!と思い、もう一度身を乗り出す。まさか。まさかまさかまさか!だって、彼の体はいまは…………… そう思ってじっと目を凝らす。 どれほど見つめただろうか。その背中や髪は、見れば見るほど彼に似ていた。 そして、搾り出すように。 確認するかのように呟いた。 『え………ゆう……じ…くん?』 祐司、という言葉に反応し、達也が友香を見た。そして友香の目線の先をたどり、呟いた。 紛れも無い、かつての親友の無惨な骸に……。 『何でここに…』 祐司は、死んだはずだった。『階段から落ちたときに、うちどころが悪かった』と昨日、医者が自分達の前で説明したはずだった。 その祐司が何故ここに? そう思っていると、祐司が横たわる中庭に『かごめかごめ』が響いた。 誰が歌っているのか、はたまたそれが男か女かすらわからない。けれど、地獄から這いだしてきたかのような、恐ろしい声だった。 そして、その声が聞こえだした途端、校内から全ての音が消えたように感じた。
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