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『……死者への冒涜もいいとこだわ』
心底憎々しげに、友香が言った。友香は、何を見ているか察したらしかった。
『生きている間はさ、みんなで隠し撮りして“佐倉君かっこいい”とか大騒ぎしてたくせに、死んだ後は好奇心の対象?死んだ人を写真に撮って、みんなで眺めるとか…友香には信じられない!』
友香の怒りは、なかなか収まらない。目を潤ませて黙り込んだ。そして、友香はそのまま立ち去り、数分の間、戻ってこなかった。
裕司の死体の写真……?
一瞬好奇心に駆られたが、それを友香に言おうとは思わなかった。火に油は注ぎたくない。
しばらくして戻ってきた友香の手には、土産が握られていた。それは、赤い携帯電話だった。
『丸山詠美の携帯、もってきちゃった』
眉をあげたまま、友香が言った。
『詠美は、エイミーってあだ名で呼ばれることが多い写真部の子なんだって。変わり者らしくて、敵もいっぱいいるみたい』
『なんで…それ持ってんだよ』
『すれ違い様に…ね』
友香は悪びれることなく言い放った。チャリチャリと音を立ててストラップとして飾られたアクセサリーが揺れている。
……達也は、何故かそのストラップに見覚えがあった。
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