花瓶

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『そのストラップ………裕司のだよな?』 『はい。うちに泊まった時に忘れていったんで、頂きました』 『…犯罪その弐、だな』 呆れて呟く達也の言葉に対しても少女は『それ、お気に入りなんです』と応えた。友香に至っては、すでにまた携帯をいじっている。盗撮の証拠を消すのに必死のようだった。 『無駄ですよ、友香さん。著作権加工しないと赤外線で送られて、画像が氾濫しちゃって商売にならないんで…画像の類は全部家のパソコンに送ってバックアップしてます。携帯の画像はいくら消しても意味を成しません』 『……死体の写真あるでしょ?』 『あ、それならまだあります。データフォルダのフォトブックを見てください。暗証番号は2270ですから』 実にあっけらかんとしている。相当の変わり者…という風説も当たっているが、相当の度胸の持ち主ということもわかった。 達也は、半ば感心しながら詠美の言動を見ていた。 『……!』 友香から小さく悲鳴が漏れた。どうやらお目当ての写真はすぐに見つかったらしい。
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