花瓶

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頷いた達也に対し、詠美は益々眉を吊り上げた。 『そしたら、ほんと幽霊しか犯行できないじゃないですか。絶対にトリックがあるはずです』 犯人は幽霊 詠美のその言葉に、達也は思わず吹き出した。そうだ、幽霊なんているわけがない。 『それと…どちらかと言うとこっちが本題なんですが…。』 詠美は、ブレザーのポケットから新聞の切り抜きを数枚取り出した。その全てが、今までにこの街で起きた自殺についての記事だった。 『……女性ばかりが4人…か』 『昨日の女性を含めると、1ヶ月間で5人亡くなりました。ここ10年で断トツです』 詠美の話によると、警察は関連性はないものとして刑事事件としての捜査はしておらず、しかも、どうやらこれでおしまいではないらしい。 『全ての自殺において、同じ日に男性が事故で亡くなっています』
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