I CAN FLY

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太陽は、頂点を通り過ぎた。地平線に向かって落ちていく。 しかし、それでも。飛び降りの現場の硬直状態は、達也達が下校することになっても続いていた。 『達也、寄って行かね?』 祐司は、目を爛々と輝かせてビルへと続く道を指差した。その方向には沢山の報道陣が。そしてさらにその奥には、野次馬で大きな人だかりができている。 その人数の多さを見て、達也は深い溜め息をつく。 『絶対に嫌だ。あんな暑苦しい場所、わざわざ行く必要性を感じない』 『じゃあ達也くんは、暑苦しくなくて、涼しければオッケー?』 『あ、涼しい場所なら、俺心当たりあるわ』 達也の返事を聞かずに、祐司が友香に返事をした。そしてそのまま電話を掛け、歩き出した。 達也は、にこにこと笑う友香に引きずられるようにして祐司を追った。まったく強引なやつらだと再び溜め息をつきながら、そんな所がコイツ等と連んで楽しいところだ、とほくそ笑んだ。『…ったく。行きたいならお前ら2人で行けばいいのに』 『なんでそんなこと言うかなぁ!友香はね、祐司くんと2人きりだと勘違いされて、祐司くんの彼女に絡まれるの!“その女誰よ”って』 祐司の連れている女は毎回違う。その女の好みも、容姿も1人として似ていないのだから、友香が彼女に間違えられても何ら不思議はない。 『そうか、難儀だな』 『なっ…何それ…!もっと何か反応あるでしょ!!』 『………』 『ひどっ!』 友香をからかい遊んでいると、電話を終えた祐司が二人にピースをしてきた。 『飛び降りの現場、特等席で見せてやるよ』 そう、眩しい笑顔を浮かべる祐司の髪もまた陽の光を浴びて光っていた。 明るい色の髪に、天使の輪と呼ばれる髪の毛の艶が浮かんでいる。 ――………それは、思い返せばこれから起こることの予兆だったのかもしれない……―――
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