第一章

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直樹は背中に乗る真樹をひょいと持ち上げると、私に微笑みを向けながらドアの向こうへ消えて行った。 残された私は早速荷物を解きにかかる。 目の前に広がる箱の数に軽くため息をついたその時、その音は聞こえた。 一定の間隔をあけ、その音は近づいてくる。 激しい音ではない。 とても静かな、それこそ耳を澄まさなければ聞こえない位の微かな音だった。 何かを圧迫するような、軋んだ音。
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