第一章

3/15
前へ
/42ページ
次へ
ぼんやりと家を見上げる私に、可愛らしい大声が飛んでくる。 目をやると長く柔らかい髪を二つに束ねた娘が、大きな瞳を輝かせながらドアの前で手招きしていた。 「もうっ。そんな所にいて風邪引いても知らないよ」 寒さで赤く染まった頬を膨らましながら、私を睨む真樹。 その姿に苦笑しながら、私は足を踏み出した。   ――この時、悪夢はもう始まっていたのかもしれない。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加