第一章

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玄関に一歩足を踏み入れると、先に上がっていた真樹が得意気な顔をして私を迎えた。 待ちきれないのか、早く、とブーツに手をかける私の腕を引っ張る。 「ちょっと待って」 そんな真樹に笑いかけながら、私は急いでブーツを脱いだ。   「ママ、あっち」 真樹は興奮しきった様子で家の中を歩き回ると、何度も私を呼ぶ。 楽しげな真樹の姿を眺めていると、さっき感じた不安は跡形もなく消えていた。
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