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あれから俺は、すっかり自分の殻に閉じ籠る様になった。と言っても皆の前では普段と変わらずだが…。
そして今も校内を1人で歩きながら、…殻に籠り中…。
【…どうすっかなぁ~…―。】
気持ちが揺るぎ始めていた、彼女達に言われてから…。言う気なんて今までなかった。でも、正直疲れてしまったのだ。…想い続けるのも、親友でいる事も…。いっその事…。
『告った方が楽かなぁ~?』
「悠哉、誰かに告るのか?」
いきなり後ろから声を掛けられ驚いた俺は、残り7段の階段を踏み外してしまった。
『うわっ!!』
「あぶねっ!!」
落ちると分かり目を瞑ると腕を引っ張られた。少し経ち、くるはずの痛みがなかなか来ない為、目を開けると鼻が付きそうな位近くに先程、声を掛けて来た1つ上の喃條先輩(ナンジョウ)がいた。
「悠哉、大丈夫か?」
『…あっ!すっ、すみません!!怪我ないですか?』
俺は喃條先輩の上に馬乗りになっている状態で、直ぐ様退こうと動き始めると、先輩の手が俺の首筋へと回り又もや先輩の顔のすぐ傍まで逆戻り。
『あっ、あの…先輩?』
「何かあったか?」
『ッ!何もないですよ。』
喃條先輩は俺の顔を無言のままジッと見つめた。
「そうか。ならいいんだ。」
そう言うのを確認すると俺は立ち上がり先輩に手を差し伸べた
「サンキュッ!」
先輩は立ち上がると、また俺の顔をジッと見た。
『…俺の顔に、何かついてます?』
俺がそう言うと先輩は笑い始めた。
『あの…、喃條先輩?』
なぜ先輩は俺の顔を見て笑っているのか、全く分からない。
『?』
「悪い悪い。」
『何なんですか?一体。』
「いや、お前なんか可愛いな」
『ハァッ?…可愛い?…俺が、ですか?』
「あぁ。」
『…頭でも打ちました?』
「いや、俺は正常だって!」
『正常じゃないですよ。』
「悠哉ってホント女顔だよな」
『俺は女顔じゃありません!』
「女顔だって言われんの嫌いだったな、そう言えば。」
『誰だってイヤでしょう…。俺は自分の顔、嫌いです。』
「そうか?」
『そうです。』
「でも俺は好きだぜ、悠哉の顔。」
『なっ!』
「そうやって恥じらうトコとか、可愛いと思うぞ。」
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