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真顔で男に可愛いなんて言われるとは思いもしなかった。
『冗談やめてくださいよ。俺のどこが可愛いんですか?』
「普段は綺麗だよな、悠哉。」
『だから、そう言う事ではなくてですね…。』
「お前、顔は綺麗だよ。でも、時々表情が可愛くなるの知らなかったのか?」
『いや、知らないですよ。』
先程から訳の分からない事ばかり言う先輩に俺は少し呆れてきた。
「悠哉は、自分の事分かってないからなぁ。」
『何ですか、それ。』
俺がそう言うと先輩はいきなり顔を近付けてきた。
『ちょっ!』
「悠哉、自分がすげぇモテるって知らないだろ?」
『えっ?』
「やっぱりな!」
そう寺嶋悠哉は自身の恋にいっぱいいっぱいで自分の事には無頓着。だから自分がかなりモテる事も知らないのだ。それも女にとどまらず男にもモテる事を…。
「皆が言うには、お前って普段は妙に冷静じゃんか。それに加えて頭は良いし、人は良いし。そこもモテる要素なんだけど、たまに1人でいる時、悲しい顔してる時があるんだってよ。」
『…ハァ―…。』
「んで、それがほっとけない感じなんだと!」
『誰が言うんですか、それ?』
「誰って…。」
『まぁ、いいですけど。』
「恋しろよ恋。お前した事ないんだろ?」
『えっ?…海樹に聞いたんですか?』
「あぁ。心配してたぞ海樹。俺とばっかりいて大丈夫なのか?って!」
『大丈夫ですよ。』
【馬鹿海樹!人に言いやがって!!】
「でも付き合った事ないんだろ?」
『…まぁ…。』
「俺が紹介してやろうか?」
『えっ?!やっ、いいですよ。俺にだって好きな奴ぐらいいます!!』
俺は咄嗟にそう言ってしまった。先輩は驚いた顔をして黙ってしまった。
「……。」
『あっ!…いや、…。』
「なんだ、好きな奴いるのか!?どんな奴だ?」
『それは…。いや、あの今のは気にしないで下さい。それじゃ、次の講義があるんで失礼します!!』
俺は急いでその場後にし、誰もいない非常階段までやって来た
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