※ライバル※

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~帰り道~ 先程携帯で呼び出しをくらった海樹は友達の元へと行ってしまい、只今玲来さんと二人きりの状況でかなり参っている。話をしても長くは続かなくさっきから俺達の間には沈黙が続いている。 「悠君は、海の何処が好き?」 沈黙は破かれたものの、その突拍子もない質問に面喰らってしまった。 『へぇ?』 「悠君は海が好きなんでしょ?何処が好きなの?」 玲来さんはただ真っ直ぐ前を見ていたが、その顔は真剣そのものだった。 『…どこって言われても、正直困るんです…。気が付いたら好きになってて、意識し始めたらそんな事考える余裕なんてなくて…。』 俺が苦笑まじりに言うと、玲来さんは一瞬こちらを見て少し笑った。 「そうよね。ごめんなさい。」 『いえ。…強いて言うなら“心”ですかね。』 俺がそう言うと玲来さんは少し驚いた顔を見せた。 「心?」 『はい。海樹は誰にでも隔てなく接するじゃないですか?皆に嫌われてる奴だろうと、どんなにムカツク奴だろうと!偽善とか善意とかじゃなくて…。』 「……。」 『…弱さを知っているからこそ強くいられるし、綺麗な心のままでいられるんです。』 「…綺麗な心…。」 『…これじゃ、答えになってませんね。すみません。』 玲来さんは誰に言うでもなく静かに呟いた。 「ダメね。」 『えっ?』 「私達姉弟(キョウダイ)なのにね、海の事一番知ってるのは、悠君なのね。」 『…玲来さん。』 落ち込む玲来さんを見て自分が言った事を後悔した。 【何やってんだよ、俺。片思いのツラさ、俺が一番知ってんじゃん。】 「ごめんなさいね、一人で落ち込んじゃって。」
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