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あれから数日が過ぎたある日、俺と海樹はいつも通り大学の敷地内にあるベンチで過ごしていた。
「…暇だぁ~…。」
隣のベンチで仰向けに寝そべっている海樹は雲一つない空に向かって手を伸ばしていた。
『…何かすればいいだろ。』
海樹とは対称的に俺はベンチに座り手元にある本から目を離さず、そう言いはなった。
「何かって…。」
『寝れば?もぅ講義ないんだし、風邪なんて引かねぇだろ。』
俺はそう言うと再び手元の本へと意識を集中し始め、隣の海樹の行動に気付きもしなかった。突然ベンチに重みが掛かり“ギシッ”と言う音が聞こえたと共に膝が重くなった。
いきなりの事に驚いたが自分の置かされている状況を知るのにそう時間は掛からなかった。
『ッ!おまっ、何して!!』
「別に減るもんじゃないしいいだろ、膝枕ぐらい。」
そう今の俺は海樹に膝枕されている状況。
『…そう言う問題じゃないだろ!退けよ、重い。』
「無理。俺はこのまま寝る。」
海樹の奴はそう言うと俺が持っていた本を取り上げ顔にふせた
『…お前なぁ~…-。』
これ以上言ってもムダな事は知っている為、俺は諦める事にした。
海樹が寝息をたて始めて少し経った頃、不意に女子三人に声を掛けられた
「あの、悠君。」
『えっ?あっ、おい!!』
俺は海樹を起こすために頭を叩いた。
「痛っ!悠哉、お前何すんだよッ!」
勢い良く起き上がった海樹は目の前に居る女子三人に首を傾げた。
「何だ?」
『いや、俺に聞かれても…。』
「どうかしたか?」
「あの、…二人に聞きたい事があって…。」
「『?』」
俺達はお互いの顔を見合せた。
「俺達?」
『海樹にだけじゃないのか?』
「いえ。二人にです。」
「何?」
すると三人は少し黙りこんでしまった。
「あの…。」
「「「二人が付き合ってるって本当ですか?」」」
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