映し出されたモノ

6/11
前へ
/89ページ
次へ
枕元の目覚まし時計を見ると3時50分を表示していた。 「さっきと違う」 時間が進んでいれば現実の可能性があった。しかし、今はあの時より前の時間であった。 「やっぱ、さっきのは夢なのか?」 感覚を感じることの出来る夢。そんなもの聞いたことがない。たかだか意識の中だ。あるわけがない。 「やべ…頭イカれたか、俺?」 そんなわけないだろと翔は思った。 夢だったんだ。現実には何も起きていない。 そうだ。全部夢、夢なんだ。かなりリアルだったが所詮は夢。あんなこと、現実に起こるはずないだろ。 翔はそう自分に言い利かせた。 「馬鹿らしい。何をビビってんだか」 さっきまでの恐怖心はどこかへ行ってしまった。途端に自分が夢に恐怖を抱いていたことが馬鹿らしくなった。 「無駄に疲れた…」 翔は頭をクシャクシャと掻きながらベッドから降り、浴室へ向かった。 着ていたシャツが汗で濡れていて気持ち悪くなり、着替えと汗を流すためだ。 全部洗い流してスッキリさせたかった。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加