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シャワーを熱めに調節し、一気に汗を洗い流した。浴室は直ぐに湯気に包まれた。
「ふぅ…」
勢いよく流れ出るシャワーが気持ちいい。
シャワーを浴びながら、翔は最近よく見る夢を思い返した。
真っ暗な空間
そこは血の海で
目の前には見覚えのないもの
毎回これだ。しかもあれが何かを言おうとしているがいつも聞こえない。
しかし、今夜のようにリアルに近いような夢は初めてだった。まして夢の中で夢を見るなどありえなかった。
「なんかあったっけ?」
考えてみるが心当たりがない。
翔は訳あって高校に入学してからこのアパートで一人暮らしをしていた。始めは慣れないことだらけで苦戦していたが、今ではもう慣れたものだ。
「そういや、ここ来て少し経ってから、稀に変な夢見てたな」
翔は、何だったかと思いだそうとするが、思い出せなかった。
夢に対する記憶など曖昧なものだ。ましてや時間が経っていれば余計思い出し難いだろう。
「後でにしよ」
翔は思い出すのを諦めた。
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