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―ピチャン―
「ん?」
何処からか水の跳ねる音がした。
俺は動いていない。
「誰かいるのか?」
キョロキョロと周りを見渡すがなにもない。
―ピチャン―
また音がした。しかもさっきより近い。
―ピチャン―
音の感覚が短くなり、段々と俺に近づいてくる。
「誰だ!!」
俺は音がした方に向かって叫んだ。同時に音が止まり消えた。
「なんだったんだ?」
疑問に思いながらも、ふと視線を下へ落とした。血溜まりには俺が映っている。
「本当に誰もいないのか?」
気持ち悪くなった。気がおかしくなりそうだ。
何処までも赤一色の此処から抜け出したかった。しかし、何処を見ても赤ばかりだ。
「くそっ!!」
動き回って見るが全くなにも変わらない。焦りばかりが先走る。
「もう…いいか」
下が血溜まりであろうと関係なかった。とにかく疲れた。
俺はその場に座り込んだ。
―ピチャン―
また音がした。今度は直ぐ後ろからだ。
しかし、振り向いたが何もない。
「…くっそ…」
手でバシャと血溜まりを払った。
けれどその先には何かがいた。跳ねた血がそれに掛かった。
「えっ!?」
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