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それは、血が掛かるのも構わないというようにそこにいた。
「誰だ、お前!?」
目の前に現れたそれに聞くが、それは何も応えず俺の方をジッと見ていた。
俺はそれを見たことはないはずなのに何故か見覚えのある気がした。
「―――」
それが俺に向かって何かを言った。
「はぁ? 何言っ…あっ! 待てっ消えんな!!」
それに向かって腕を伸ばすが届かなかった。
「…という夢を見た」
「へぇ~。んで?」
「最近、こればっかり見るんだよな」
「ふ~ん」
放課後の学校の屋上で、隼人はつまらなそうに翔の話しを聞いていた。
「なあ隼人~何だと思う?」
「さあな。それよかどうすんの?」
「何が?」
翔は金網から手を離し隼人の隣に行った。
「あれ」
隼人は座ったままで屋上の出入り口を顎で差した。入り口では4、5人程柄の悪そうな輩が騒いでいた。
「あぁ、忘れてた」
「あのな…」
翔は動揺するどころか全く興味なしといった様子だった。隼人は少し呆れた。
「てめぇら!! 何、和んでやがる!!」
忘れられていた柄の悪い輩が叫んだ。
「ってかまだいたんだ。無視してりゃ帰ると思ったんだがな」
「なるほどね」
翔はサラリと言う。隼人も納得したように頷いた。
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