偽りは…

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そんな翔を見て京弥はゆっくりと彼に近づいた。京弥は腕を伸ばせば翔に触れられる所で止まり彼に言った。 「全部思い出したんだろ? なら、俺らを殺りたいわけをいい加減に話してくれねえか?」 穏やかに言う京弥だったが、翔は威圧感を感じた。京弥の後ろにいた翔に似た人物は心配そうに翔を見た。その視線に気づいた翔は、彼へ向けてにこりと笑った。 「大丈夫だ。これで全部終わらすから」 まるで京弥など相手ではないといった感じだった。今も翔は京弥など見ておらず、自分に似た彼しか見ていない。そんな翔達のやり取りを見ても京弥には何も面白くなかった。 「はっ、俺もなめられたもんだな。ただの餓鬼に負けると…。ふざけてんじゃねえぞ、翔。誰がやり方教えたと思ってんだ?」 見下された京弥は殺気の籠もった目で翔を睨みつけた。ただのチンピラ程度であれば簡単に怯ませることが出来るだろう。翔も一瞬驚きはした。 「…早くやろう。時間がねえ」 一切の感情が感じられない言い方に京弥から何かが切れる音がしたように聞こえた。 「ああ、そうか。なら…先に逝けや!!」 先に動いたのは京弥だ。京弥は翔目掛けて勢いよく拳を振った。
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