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しかし、飛び散ったのは透明な普通の水だった。赤い滴など何処にも見当たらない。
翔は突然のことに焦った。疲れかなにかで幻覚でも見たのかと思った。しかし、あれは確かに血の独特の味がしていた。
「幻覚にしちゃリアル過ぎだろι」
まだ喉の渇わきが少しあったが、もう水を飲む気にはなれなかった。
翔は仕方なくベットへ戻ることにした。
眠れば少しはマシだろうと思ったのだ。
部屋の中は明かりは点いていない。しかし、真っ暗という程ではなく、閉じられたカーテンの隙間からうっすらと明かりが入ってきていた。
「たっく、なんなんだ…よ?」
ベットへ近づいたときに不意に違和感を感じた。
ベットから出たときに、翔は布団をあげていた。それが今は敷かれている。
さらに、中央が盛り上がっているではないか。
―何かいる―
翔は背筋に冷たいものが通り過ぎるのを感じた。足がその場で止まった。
近づけない?
違う。
近づきたくない、近づいたら駄目だ!!
本能的にそう感じた。
翔はそれをただ見ているしか出来なかった。
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