映し出されたモノ

3/11

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
しかし、飛び散ったのは透明な普通の水だった。赤い滴など何処にも見当たらない。 翔は突然のことに焦った。疲れかなにかで幻覚でも見たのかと思った。しかし、あれは確かに血の独特の味がしていた。 「幻覚にしちゃリアル過ぎだろι」 まだ喉の渇わきが少しあったが、もう水を飲む気にはなれなかった。 翔は仕方なくベットへ戻ることにした。 眠れば少しはマシだろうと思ったのだ。 部屋の中は明かりは点いていない。しかし、真っ暗という程ではなく、閉じられたカーテンの隙間からうっすらと明かりが入ってきていた。 「たっく、なんなんだ…よ?」 ベットへ近づいたときに不意に違和感を感じた。 ベットから出たときに、翔は布団をあげていた。それが今は敷かれている。 さらに、中央が盛り上がっているではないか。 ―何かいる― 翔は背筋に冷たいものが通り過ぎるのを感じた。足がその場で止まった。 近づけない? 違う。 近づきたくない、近づいたら駄目だ!! 本能的にそう感じた。 翔はそれをただ見ているしか出来なかった。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加