偽りは…

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翔は微動だにせず、ただじっと京弥の拳を待っているかのようだった。 「おおおおーっ!!」 確実に京弥の拳は翔の顔面を捉えていた。しかし、拳が当たることはなかった。 「はぁ!? なんだこれは!!」 拳は翔の体をすり抜けた。京弥は信じられないというように何度も翔に殴りかかった。息を切らし困惑する京弥だったがひたすら拳を振るった。決して当たることのない拳をだ。 「はぁ、はぁ、…っだあああー!!」 渾身の力を込めて京弥は翔へ殴りかかる。 「諦めろ」 翔が京弥の渾身の一発を片手で受け止めた。驚き畏怖の表情を示す京弥は掴まれた拳を振り振り払おうと足掻いた。その時、拳の先にいたはずの翔が目の前にいた。 「っ!? 何でてめえだ……け……」 京弥は首から棒の折れる鈍い音を聴くと一瞬で彼の視点は翔に似た彼の方へ移った。そのまま京弥は後ろに倒れた。ただ、首だけはうつ伏せのままだった。翔は眉一つ動かさずにそれを見つめた。 「ゲームセット、でいいのかな?」 翔に似た彼が翔に近づきながら話しかけてきた。 「終わりだ。彰」 「やっと思い出したか。翔」
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