偽りは…

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彰は翔にニコリと笑みを浮かべると、彼の足元に転がる京弥の元へ行った。そして、足で京弥の体を転がした。 「最後だけは呆気なかったかな」 くるりと彰は翔の方を向いた。 「…胸くそ悪い…」 不機嫌な声で翔は言う。それを受けて彰は、ケラケラと笑いながら謝った。 「悪い、悪い。次はもうちょいマシなもんつくるからさ~。なっ」 「次はねえよ」 「へ? なん…で…」 翔はズボンのポケットからナイフを出すと、ナイフを鞘から取り出した。 「ちょっ翔、ゲームは終わっただろ!! あとはログアウトすれば…」 彰は慌てて後ずさりをする。その目には恐怖が写っていた。 「彰…、お前はやり過ぎだ。危険者として処分しろとの指示が出た」 翔は淡々と述べた。全く感情のこもっていない人形のような声だ。 「危険者って…い、嫌だ。俺はまだ死ねないっ!!」 それを聞いた彰は顔が真っ青になり狼狽えながらも、きびすを返しその場から逃げ出そうと窓へ走り縁に手足を掛けた。窓から飛び降りるつもりだ。 「さっき、言っただろ。次はねえよって…」 直ぐ後ろから翔の声がした。
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