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沈黙が続いた。
嫌な沈黙だ。逃げ出したい。翔は焦っていた。
だが体は固まってしまい全く動くことができなかった。
「……」
―ゴソゴソ―
「っ!?」
突然掛け布団が動いた。
始めはゆっくりとだったが、徐々に動きが大きくとなってきた。そして、布団が持ち上がっていた。
このまま持ち上がれば布団は重力で下に落ちるだろう。それが見えるのはもう時間の問題だ。
見たくない…。
見たら駄目だ。あれは駄目だ!!
逃げなきゃ…。逃げたい逃げたい逃げたい!!
動け…、動けっ!!
なんとかこの場から逃げ出そうと必死だった。
しかし、焦れば焦るほど恐怖も混ざり余計に動けくなった。
「くそっ!」
布団はゆっくりと上がっていく。それが翔をさらに焦らせていた。
―ズルッ―
布団がズレ出した。それも、一気に外れるのではなく、ゆっくり少しずつズレていった。
「っ!? あ…あ…っ」
思わず声が漏れる。
それが徐々に姿を表す。
見るな!! あれは…。
動けないなら、と思い翔は眼を閉じようとするが閉じることができない。
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