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「で・・・
話ってなんなんだい?
私が出来る限りの事はやってあげるよ。
意外とあんたの事は気に入ってるからね」
「あっそう?あんがと。
実は今日行った依頼人の事なんだけど・・・」
それまで騒がしかった
ラッキー兄弟もさすがに静かに話を聞いた。
俺は佐藤の計画と、
佐藤がいかにちっちゃくてシルバニアファミリーの椅子が似合うかを皆に話した。
「・・・ふ~ん
太郎もちゃんと仕事するのね」
「ったり前だろ?
んでさぁ、俺は正直
レイアウトとかわからないからさ・・・
なんとかなんない?」
「呆れたねー
あんたって子は!!
何にも考えないで仕事引き受けて!」
「まぁまぁ女神様。
太郎さんは優しいんですよ」
見回り・・・
影は一番薄いけど
お前が一番優しいよ
タイムやラッキー兄弟は腕を組んで考えこんでいる。
さすがに人間界の事は難しかったか、
見回りも少し困った顔をしている。
「レイアウトねぇ・・・
私の知り合いで良ければ紹介してあげるよ。
私はこれでも自分の店を何店舗か持ってるからね」
「マヂで!?
えっ?だって今まで何にも言わなかったじゃん!!」
「だって聞かなかっただろ?」
「ぐっ・・・」
んのババア・・・
確かに聞かなかったけど!聞かなかったけど!!
俺がテーブルの下で握りこぶしを作って
プルプルしていると、
見回りがポンと手を叩いた。
「接客でしたら、
行儀作法を教えてくれる適任者を知っていますよ!
勿論、人間です」
「へ~
見回りに人間の知り合いがいたんだ?」
「・・・はい
元妻なんですが・・・」
「結婚してたのか!?
しかも人間!?」
「えぇ・・・
もう彼女も40になりましたかねぇ・・・
結婚と言っても、
きちんとした物じゃなかったんですけどね」
「そうなんだ・・・
いや、助かるよ。
でも大丈夫か?」
「ええ
彼女とは連絡を取り合っていますから。
厳しい人じゃないし、
かと言ってぬるい人でもないので」
「いや、そうじゃなくて・・・
まっいっか。
じゃあ宜しく!」
結局、その日だけでほとんどが話がまとまった。
後は実行するだけだ。
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