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呼び出された。
放課後、裏庭に…
誰だよ、呼び出したやつは…
今、俺は非常に機嫌が悪かった。
これから妹の紗浬を保育園に迎えに行かないといけない。
時間が押してる。
イライラと待ち続けること、少し。
現れたのは……
黒い髪をなびかせる、1人のクラスメートだった。
息を切らせているところを見ると、慌てていたんだろう。
「…ごめん、遅くなった…」
彼女の謝罪の言葉を、素直に聞き入れていた。
落ち着いた頃、彼女はにこやかな笑顔を向けて、
「あのね、好きなの」
猫を被ってそう言った。
じゃあ、俺もそれに応えよう。
「は?君、誰?」
本当は知ってる。
でも、一度も話したことなかったから、冗談言われたら冗談返すよ。
「一応、同じクラスなんだけど」
「へぇ、そうなんだ」
知らないフリをすると、彼女は俺にビシッと指を突きつけ、
「浅水颯希!こっちは告ってんのー!ちょっとは何か反応しなさいよ~!」
逆ギレをするクラスメート、駿河蓮華。
ってか、おもしろ!
俺、フルネームで呼ばれたの初めて。
こんな声を荒げるとこ初めて見た。
「ふぅん、それが素?じゃ、またね」
もうちょっと苛めてやりたいけど、迎え行かないといけないから駿河に背を向け歩き出す。
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